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室内気候学へのご招待

3:建材表面の機能と室内気候の質
3-1建築材料のメンブラン機能(第三の皮膚)

人間の直接の皮膚や、「第二の皮膚」(衣服の外側)の2つの皮膚同様、住宅を私達の日常生活における、健康維持に重要な役割を果たす「第三の皮膚」とみなすことは、「生物学的建築運動」を促進する上で有効な手段であった。

しかし、住宅を「第三の皮膚」と呼ぶことは、建築材料の選択に重要な意味を持つ。
「皮膚」の質を備えた建築材料であるためには、静的機能あるいは他の機械的機能を備えた受動的な内容物以上の働きをしなければならない。すなわち私達の身体の能動的な一部である皮膚(人間の最大で最重要な臓器である)と同じように、建物の能動的な部品として働かねばならない。

人間の皮膚は、受動的で浸透不能な皮膜ではなく、能動的器官で、粒子・液体・気体を放出、吸収、転換、透過させるといった多様な能力を持っている。この点で生きた皮膚は、高度に複雑な半透膜に似ている。すなわち、皮膚は、外界から多数の作用物質の侵入を防ぎ、物質を中から外へ流出させ、外部の大気を汚染することなく、内部の生命環境を作り出すことで、生命体を守っている。言い換えれば建築材料のメンブラン機能(第三の皮膚)とは、建物と環境との間で、物質とエネルギーの流れのバランスを取り、それを調節するものなのである。

3-2建築材料の放出特性
建築材料には物質を放出しない材料がある。金属、ガラス、セラミックは、放出性が極めて低い材料である。しかし、これらの材料のみで作られた家屋は極めて不快であり、居住することができない。全く逆に、私達が住んでいる住居の快適な部屋には特異な匂いがある。そして、あらゆる匂いは、化学的定義によれば、「放出物」である。そこで、問題は、「放出物があるか否か」ではなく、「どのような種類の放出物が、どの程度の量が放出されるのか」である。

竣工したばかりの近代建築の室内に漂う奇妙な匂いは、大部分が建築材料の化学成分に起因している。例えば、接着剤に使用されている結合剤や、防腐剤から出るホルムアルデヒド、希釈剤に使用されているキシレン、トルエン、ケトン、塗料、光沢剤に使用されているグリコール、同種脂肪族化合物(isoaliphates)、プラスチックを軟化するための脂肪族化合物などである。これら成分の1つとして、健康な建物・クリーン環境の最低基準を満たすものはない。火災の場合、石油化学系建築材料は非常に深刻な危険にさらされる。それは、加熱による化学的分解によって発生する有毒ガス、腐食性物質、濃い煙が、命にかかわる致命的な被害を引き起こす。

植物性原料から作られた建築材料にも「放出物」はある。最も一般的な例は化学薬品を装飾していない、無垢の木材である。木材はすべて間違えようがないほど明白な「放出パターン」、すなわち、独特な匂いがある。例えば、桧材、杉材、唐松材、松材、は専門家だけではなく素人にさえもはっきり解るほどの特徴的な匂いがある。

化学的にいえば、これらの木材は、テルペン、モノテルペン、アルデヒド、アルコールなどで構成される高度で複雑な高分子化した混合物を放出している。この放出物は、特異な匂いで容易に識別されるばかりではなく、GC/MSといった化学分析装置で容易に識別できる特殊なパターンを示す。しかし、このような放出物は、何百万年もの昔から、我々の自然環境の一部であり、これら天然樹脂と生物の間には、相互的な適応が行われ続けてきた。

3-3建築材料の吸着と拡散
有機建築材料の大部分(漆喰や木材、吸着機能を持ったセラミック)は、物理的に吸着と再放出を繰り返しながら、保護機能と透過機能を同時に発揮することができる。植物繊維は内部と外部の湿度の釣り合いをとることができる。しかし、近代建築材料の技術展開は、被覆剤や添加剤によって、本来の機能を失っている。

工場生産された建材の多くは、合成樹脂による皮膜化技術で、建材表面をプラスチック化し飛躍的に生産性を高めた。その結果、室内のあらゆる表面は温熱環境によって気化し、揮発性有機化合物(VOC)が微量に放出され続け、拡散すると、同時に、電気的要因によって室内空気に含まれる粒子(粒子には前述した、化学物質や微生物・細菌が付着している)を引き付け、付着させる。

残念なことに、石油化学系建築材料(プラスチック、絶縁体、被覆材、接着剤)の大部分には、人間の皮膚にあるのと同じ機能がない。そのため、内部と外部が完全に遮断される結果となる。その遮断は完全すぎて、そこに住む人間にとって有用、かつ健康的であり得る範囲を逸脱してしまった。

近代建築における室内気候と、プラスチック化した建築材料の関係は、電気的付着と拡散という個別的、選択的関係から、室内空間における揮発性有機化合物の総量(TVOC)が問題となる。また、電気的特性に起因した、粒子の引き付け、反発現象が室内のあらゆる表面で起こり、アレルギー反応の誘引や細菌増殖のリスクを内在している。

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